時杜 一花の『聖なる夜に恋の魔法を!』
桂木京介 GM

プラン

アクションプラン

時杜 一花
(ヒンメル・リカード)
10
キャンドル・グランツ参加済

えっと、飾りつけ頑張りましょうね
私の希望ばっかりきいて貰う形になってしまってごめんなさい
ヒンメルさんはどこか行きたい所とかなかった?
そう、ね。ありがとう、ヒンメルさん

一緒に飾りつけ
へえ、一つ一つに意味があるのね
綺麗なだけじゃないって素敵だわ
それじゃあこれは?と色々と聞く
ヒンメルさんて色々な事を知っているのね

じゃあお願い事をする時はそれも踏まえてやってみようかしら
一つくらいなら叶うといいな

えっと、その…
本当の事を言うか迷った末、嘘を付いてもすぐばれると思い正直に
手紙、ここに飾りつけるじゃない?
とても伝えたかった事だから、少しでも早く飾り付けたいなぁって、思って…
段々と恥ずかしくなり声が小さく

もう、いい子っていったり悪い子っていったり…
ヒンメルさんの中で私ってどんな子だと思われているのかしら

思わず硬直
えっとヒンメルさん…?
そ、そんなことはないと思うのだけど…!

リザルトノベル

 深緑息吹く古代の森は、平素はこの上なく静謐で、その裏返しかどこか人を拒むような、冷徹の感すらある土地だ。
 その場所がこの夜は特別に、ウィンクルムのためだけに開放されている。
 催しは、森にそびえ立つメリーツリーの飾り付け。
 愛の樹に、夜空の星のごときオーナメントを飾るのだ。
 指先まで冷気がしみこむような宵なれど、きらめく光は温かく、空気は澄み、参加者たちの間には、くすくすという秘めやかな笑い声も交わされていた。
 その一角で時杜 一花は、緑と黄色、赤のモールで作られたクリスマスリースを手に、これを飾る場所を探していた。けれども実際のところは気もそぞろで、彼女はちらちらと、ヒンメル・リカードの様子をうかがっているのだった。
 ヒンメルは、器用な手つきでオーナメントを飾ってゆく。サンタ人形、靴下、星……紙細工、単なるアルミ材質の光沢であっても、彼のほっそりと繊細な手にかかればいずれも、水晶のごとく輝いて見える。
 端整なヒンメルの横顔は硝子細工を思わせた。その口元には、ほの明かりのような笑みがあった。
 ――笑ってる……。
 救われたような気持ちで、一花はリースをモミの木の枝につるした。
 ところが結わえ方が甘かったのかとリースは滑って、読まれなかった葉書のように足元に落ちてしまった。
 あっ、と小さく声を上げて一花はしゃがんだ。
 リースに触れた指先が、別の手の指先に触れた。
 ヒンメルの手だった。
「大丈夫?」
 ヒンメルが一花を見ている。
 その眼差しは、優しい。
 どうも、と言ってリースを受け取り立ち上がったものの、あまりに素っ気ない気がして一花は言い加えた。
「えっと、飾りつけ頑張りましょうね」
 いささか唐突な言いようだったが、ヒンメルは「うん」とうなずいた。
 一花は、ぺこっと頭を下げる。
「ごめんなさい」
「え? なにが?」
「私の希望ばっかりきいてもらう形になってしまって……ヒンメルさんはどこか行きたい所とかなかった?」
 ああ、そういうこと? と言いたげな顔になったのはわずかのこと、すぐにヒンメルは、
「特に行きたい所があった訳でもないから気にしないで」
 と目元を緩めた。
「それに、ごめんなさいよりはありがとうがいいな。そっちのが僕は言われて嬉しい」
 言いながら彼は、小さな雪だるま型オーナメントを手で操って踊っているように見せた。
「そう、ね」
 そのコミカルな動作、そしてヒンメルの口調に、つられて一花は頬をほころばせている。
「ありがとう、ヒンメルさん」
「うん、それがいい」
 ヒンメルは微笑んでいた。
 そのほうが一花さんには似合うと思うよ、と言わんばかりに。
 それまでどことなくぎこちなく、途切れ途切れだったふたりの会話は、この小さなやりとりをきっかけに、控えめながら色鮮やかになる。
「どう飾る?」
 ヒンメルが問いかける。
「そうね、それは……」
 一花が返す。
「ここがいいかな」
 と言うヒンメルに、
「私もそれがいいって思ってたんだ」
 一花は嬉しげにうなずいた。
「ところで」
 このとき、ひょい、とヒンメルはステッキ型をしたキャンディを取り出した。白と赤のストライプに塗られている。さすが奇術師、どこからこれを取り出したのか、一花にはまるで見えなかった。
「クリスマスツリーに飾るオーナメントって、一つ一つに意味があるのって知ってる?」
「そうなの? 知らない」
「たとえばこの杖型キャンディ……正しくはキャンディケイン、って言うんだけどね。これは羊飼いの杖を模しているという説があるんだ。神様は、迷える子羊を導く羊飼いだから、ってわけだね」
「へえ、ちゃんと意味があるのね……綺麗なだけじゃないって素敵だわ」
 一花は目を輝かせる。
「それじゃあこれは?」
 彼女の好奇心に火が付いたようだ。すぐに一花は、別のオーナメントを指さしていた。
 これを受けてヒンメルは軽く、さまざまなオーナメントにまつわる話を披露したのである。
 ヒイラギ飾りの赤い実は神の血であり、緑の葉はその永遠の命を意味しているとか、赤いオーナメントボールは、禁断の知恵の実の象徴だとか、イルミネーションのライトも夜空の星を示すものだとか、そういった内容だ。
 感じ入ったように一花は手を叩いた。
「ヒンメルさんて色々なことを知っているのね」
 それを聞いてもヒンメルは偉ぶらない。かといって過度に謙遜することもない。
 ただ彼は、奥ゆかしげに微笑してこう告げたのだ。
「話の種っていうのは、いくらあっても困らないからね」
 クリスマスツリーにモミという常緑樹を使うのは、これが永遠や永続性を象徴しているからだとヒンメルに聞き、一花はいとおしげにその葉に触れ、ぽつりと口にしたのである。
「じゃあ、お願いごとをする時はそれも踏まえてやってみようかしら。……ひとつくらいなら叶うといいな」
 これを聞いて、ヒンメルはふふっと声を漏らしていた。
「ひとつってところが一花さんらしいな」
「そう?」
「全部叶いますようにって、欲張ってもいいと思うけど」
「あれもこれも、っていうの、なんだか落ち着かなくてね。それに、一気に叶っちゃったら、面白くない気もするもの」
 静かに語る一花の言葉は、ヒンメルに語っているようにも、己に言い聞かせているようにも聞こえる。
「それで、ヒンメルさんなら何を願うの?」
「僕?」
 と言ったとき、ヒンメルの兎状の耳がぴくっと動いた。
「そうだな……僕は何願おうかな……?」
 ちょっと考えたようだがすぐに彼は、水色の瞳で笑ったのだった。
「神頼みしてでも叶えて欲しい願いもないし、別にいいか」
 屈託のないその口調に虚勢は感じられない。
「そうなの?」
「変かな?」
「別に……むしろ、ヒンメルさんらしいかも」
 特に願いがないというのは、現状に満足しているという意味だろうか。
 そうだったら嬉しいな――漠然と一花は考える。
 少し、互いの間に、スペースキーを何度か押したような沈黙が流れた。
 ややあって、
「スポットは一杯あったけど、どうしてここに決めたの?」
 思い出したようにヒンメルが言った。
 ヒンメルは手で、マッチ箱のような家のオーナメントをくるくると回している。
 けれど彼の目はオーナメントを見ていない。
 一花を、見ている。
「えっと、その……」
 一花は言いよどんだ。本当のことを明かすべきか、迷う。
 だがすぐに彼女は思った。嘘をついてもおそらく、ヒンメルはたちまち見抜いてしまうだろう。
 なら、正直になるほうがいい。
「手紙、ここに飾りつけるじゃない?」
 ヒンメルは何か言うかわりに、こくっとうなずいた。一花は続ける。
「とても伝えたかったことだから、少しでも早く飾り付けたいなぁって、思って……」
 言葉が進むにつれ恥ずかしさが増してきて、一花の声は遠ざかるかのように、徐々に小さくなっていく。
「なるほど。いい子だね、一花さんて」
 からかうような口吻ではなかった。探していたパズルのピースが見つかったような、満足げな口ぶりだ。
「もう、いい子っていったり悪い子っていったり……」
 怒ったわけではないのだが、なんとなく一花は不満げな顔をしていた。所在なさげにサンタクロースの人形を取って揉んでみたりする。
「ヒンメルさんの中で私ってどんな子だと思われているのかしら……」
 思わずするりと、そんな言葉が口から漏れていた。
 これは限りなく独り言に近いつぶやきで、回答は期待していなかった。
 にもかかわらず、
「聞きたい?」
 いたずらっぽい声色で告げるや、一歩、踏み出してヒンメルは一花の間近に立つ。
 そうして彼は手袋をはめた手を、一花の頭に乗せたのだ。
「まあ可愛い子だなあとは思っているよ、反応とかね」
 子どもをあやすように、そんなことを言って彼は、一花の柔らかな髪を撫でた。
 これは予想外の展開だ。びいん、と背骨が鉄の棒に変わったような心境で一花は硬直してしまう。
「えっとヒンメルさん……?」
「僕も前に耳触らせたことあるし、これくらいのお返ししても問題ないよね?」
「そ、そんなことはないと思うのだけど……!」
 一花はこれだけ言うのが精一杯だった。こんな風にされて、どう返せばいいのかなんてわからない。たとえば――と一花は思う。人生経験豊かな自分の姉たちなら、巧く返せるのだろうか。同じ状況に置かれても平然としていられるのだろうか。
 けれど決して、嫌な気分ではないのだけは確かだ。
 なんて言おう、どんな顔をしよう――頭を悩ませる一花だったが、しかしそれは続かなかった。
「じゃあ早く手紙飾るためにも頑張ろうか」
 と告げて、ヒンメルが手を離したからだ。
「さあ」
 そうして彼がどこからか出したのは、大きな、とても大きな星のオーナメントだった。
 ツリーの頂上に飾るべきトップスターだ。
「どうぞ、導きの星だよ」
 と、ヒンメルは楽しげに言った。




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 桂木京介 GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:時杜 一花
精霊:ヒンメル・リカード
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2016年12月18日

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